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認トレとは何か? 認トレとは何か?

認トレは認知症発症の予防・改善・遅延を目指すプログラム

認トレは「食事」「運動」「脳」の 3分野から生活習慣に体系的にアプローチし、認知症発症の予防・改善・遅延を目指すプログラムメソッドです。「認知症は生活習慣病の終着駅」であるという考えから、生活習慣を根本的に見直し、食、運動、脳をトータルにケアすれば、認知症を予防し、脳の健康を保つことは十分可能なのです。

認トレプログラムは3本の柱からなる

認トレは「食事」「運動」「脳」の3分野から生活習慣に体系的にアプローチするプログラムメソッドです。さまざまなプログラムがありますが、その大きな柱は「食事」「知的トレーニング」「運動トレーニング」の3つです。

まず食事では、生活習慣病を予防、改善するとともに、脳の健康維持も目指します。加齢に伴い体質も変化しますから、体質の変化に合わせて日々の食事も変えていく必要がありますし、積極的にサプリメントを利用することも必要になってきます。

知的トレーニングでは、音読や書写(しょしゃ)、パズルなどを行うことによって遂行力(すいこうりょく)や判断力、記憶力などの認知機能を鍛えます。

運動トレーニングは体を動かすことによって脳の血流をよくすることが目的です。血流が改善されると脳に十分な酸素や栄養を送り込むことができますし、脳の神経ネットワークを強化して、活性化することができます。 これら3つのプログラムを日々行うことで、生活習慣病の予防・改善と脳の活性化を図り、認知症予防を目指します。

認トレでは脳を喜ばせることが大事

認トレを行うにあたって大事なのは脳を活性化し、喜ばせることです。
まず、いろいろなことに興味を持つこと。脳は本来なまけ者なので、いつも同じことばかり繰り返していると、すぐにパターン化して定着させてしまい、必要最小限しか働いてくれません(省エネモードになります)。さまざまなことを、ふだんとは少し「ずれ」た型で行うことで、脳は違和感を覚え、よく働くようになります。とくに、新しい経験をすると、脳を大きく刺激することができます。また、ストレスは脳にダメージを与えるので、上手に発散することが大切です。

一人でいる時間が長い人ほど、脳が刺激される時間は少なくなりがちです。人との触れ合いを楽しみ、会話をしたり笑いあったりするほうが、脳は喜びます。
認トレにはさまざまなプログラムがありますが、いろいろな方法を試していくうちに、自分には合わないものも出てくるかもしれません。そんなときは無理にそのやり方を続ける必要はありません。自分が楽しくできる方法を選んだり、新しいことにチャレンジしたほうが、脳は喜びます。

認トレの5原則

認トレを行うにあたって、次の5つの原則を頭に入れておきましょう。
まず1つ目は、楽しみながら行うこと。同じことでも、いやいやながらすると、かえってストレスになってしまいます。喜びや楽しいという感情は扁桃体(へんとうたい)でコントロールされつつ、前頭葉に支配されているので、楽しみながらトレーニングを行うことで前頭葉がよく動き、認知機能を効率よく高めることができます。

2つ目は、ほめあうこと。人間の脳には「報酬系」というシステムがあり、ほめられると刺激されて快楽を生み出すホルモンが分泌されます。どんな小さなことでも、できるようになったらお互いにほめ合いましょう。失敗してもくよくよしないこと。失敗すると脳が混乱しますが、それによってすでに脳は活性化されています。失敗したときはトライすることこそが大事なのだと気持ちを切り替えましょう。

3つ目は、生きがいを持つこと。年齢を重ねるとともに、仕事や家族など、これまで生きがいにしていたことが自分の手を離れてしまうと、生きる目標を失ってしまいがちです。どんなに小さなことでも、生きがいを持つことは生きる意欲を高めてくれます。

4つ目は人とのコミュニケーションを大切にすること。認トレは一人で行なってもよいのですが、複数で行うほうが効果はアップします。他の人を意識したり、コミュニケーションを取ったりすることで、さらに脳が刺激されるからです。

最後に、継続すること。認トレは健康に寿命を全うすることを最終目標にしています。できるだけ長く続け、効果を持続させましょう。

認トレは「喜」と「楽」の中にある

ここまでの内容で、認知症はMCIの段階で早期発見をして、早期に治療やトレーニングを開始すれば、発症を抑えられることがおわかりいただけたと思います。
認知症にならないために必要なことは、認知症の原因となる生活習慣を改善して生活習慣病を予防・改善することと、認トレを取り入れることです。

認トレの柱は食事と運動トレーニングと知的トレーニングの3つであり、認トレの心構えで最も大切なのは楽しみながら、喜びを感じながら行うこと。人と触れ合い、コミュニケーションを取り合いながら行うことで、さらに効果がアップします。

脳の可塑性 脳の可塑性

脳には可塑性(かそせい)がある

どんな人でも年齢とともに脳は少しずつ萎縮(いしゅく)していきます。けれども、脳は外からの刺激に対して構造を変え、しくみを変えて機能を向上させる能力を持っていると考えられます。
脳には多くの神経細胞があり、それらが結びつくことによって情報が伝達されたり、記憶が定着したりします。神経細胞の接合部にあり、情報受け渡しの場となっているのが「シナプス」です。神経回路はシナプスによって形成されており、シナプスではドーパミンやなどの神経伝達物質の受け渡しが行われています。

脳の神経回路は脳が発達する成長期に形成されますが、大人になって固定されるわけではなく、外界の刺激などに適応できるように、常にシナプスは変化しています。これをシナプスの「可塑性(かそせい)」といいます。
私たちは日々生活する中で、さまざまな神経回路を使っていますが、いつも同じことばかりしていると、脳はごく一部しか使われません。使われない回路は退化し、脳の機能はどんどん低下してしまいます。

一方、新しいことにチャレンジしたり、デュアルタスク(2つ以上のことを同時に行うこと)を行ったりするときは、多くの回路が使われ、強化されます。私たちが持っている脳の「可塑性(かそせい)」という能力をうまく利用すれば、脳を活性化し、認知症を予防することができるのです。

可塑性(かそせい)を利用し脳を強化することで認知症を予防

脳には可塑性(かそせい)があることを前頁で説明しました。新しいことにチャレンジしたり、デュアルタスクをするときは、可塑性(かそせい)によって脳では多くの神経回路が使われ、強化されます。認トレはこの原理をうまく使って脳を刺激し、活性化させます。

MCIは脳の機能が低下し始めた段階です。けれども、この段階で脳をしっかりと使うことで神経回路が強化されますし、デュアルタスク以上を行うことでシナプス間の新しいつながりを構築することができます。それによって、認知症の発症を遅らせたり、発症を抑えることができるのです。

また、知的活動や運動などで脳を鍛えておくと、脳の「予備力」が蓄えられます。予備力がたくさんあればあるほど、たとえアルツハイマー病変などにより脳が障害されても、脳の機能の低下を最小限に抑えることができると考えられています。

ナン・スタディでは、脳にアルツハイマー病変がみられたにもかかわらず、亡くなるまでアルツハイマー型認知症を発症しなかった修道女が何人もいました。彼女たちは、脳の予備力が高かったのではないかと考えられています。